3日目⑤「このようにしてエジプトで年が明けた」






年越しイベントへ

夜9時から10時の間に始まるよと言われていた。フリーディナーがあって、プレゼントがあってという話だった。

カウントダウンをするらしいので、一人旅行だけど、そういうイベントをホテルがやってくれると、年が明ける実感があっていいと思う。






夜9時も過ぎた頃、日本はもう年が明けているのだなと思いだした。海外にいると、365日と時差分だけ1年が長い。エジプトで年を越せば、時差は7時間だから、私の2022年は365日と7時間だった事になる。その分来年減るけれど。

ということは、ニュージーランドとかだとあちらの方が進んでいるので、日本より早く年が明けるわけで、どちらかと言うと長くしておきたいから、海外年越しでは国を選ぼう。






21時46分。そろそろ行こう。Wi-Fiが使えないから部屋にいてもしょうがないし。






部屋は2階で、イベントは1階。






欧米的なものを期待していた。キャーキャーと盛り上がり、カウントダウンがあり、0になったらおめでとうと抱き着く。アメリカのように年越しの瞬間にキスをするまでにはいかないだろうけれど、それなりのお祭り騒ぎがあるだろうと。

ピラミッド周辺はちっとも正月気分ではなかったけれど、きっと花火があるだろうから、花火に間に合わなくても、三脚を持ってあのあたりにイルミネーションに照らされたピラミッドを撮りに行こう。夜道が危ないかどうかちょっと聞いてみようかな。危ないって言われるに決まっているか・・・。






下に降りると、何となく始まっていた。






おお。いかにも新年が来そうな感じだ。






開けっ放しだから寒い。まだ人はいないけど、どのぐらい来るのだろう。






食べ物がかわいいね。ミニバーガーとか。






小さなパンに生ハムが乗ってるやつ。サーモンかな。






サーモンはこっちか。






ケーキもあるし、ジュースもあるけど、






写りが良くないから、スマホの出番だな。






まだ誰も食べていないのできれいなまま。






作るの大変だっただろうな。






これ、みんな無料。






フロントの女の子が撮ってくれた。「何でマスクするのよ!」とか言われたけれど、まだコロナ的社会情勢だったので、コロナが終わると逆にマスクをつけていないので、ある意味記念だ。っていうか、この子は、言い方が多少失礼。余計な事に干渉する前に自分が頼まれた仕事をきちんとするべき。






ただ見栄えだけを考えて7個取ってきた。写真を撮るのでバランスを考えこの数にしたけれど、あの女の子に、「これはまだ前菜だよ!メインディナーがまだあるんだよ!」と言われた。たくさんとって迷惑なんだと思っていたのかもしれないが、いちいちキンキンキャンキャンうるさい。

そもそも、メインディナーがある事を知らなかった。無料だったらこれで十分なので、まだあるなんて思ってもみなかった。






スマホ版。

いくつか食べたけれど、別に味があったわけではなく、乾燥したパンにチーズとかサラミとかがくっついていただけなので、飾り物的前菜だったと思う。たくさんとって申し訳なかった。量制限があるのなら書いておいて欲しい。

3つぐらいは食べたと思うけど、4つだったかな。後で戻って食べようと思ったら虫がへばりついていたから食べられなかった。






話し相手もいないし、何もする事がないけれど、後でお出かけするわけだから、体力を蓄えておかないと。それと、明日はピラミッドをしっかり撮りに行って、その後の事を決めていないから、それも考えないと。




1日にピラミッドをしっかり撮って2日にチェックアウトの予定だったけれど、やはりもう1日延ばして3日のチェックアウトにして、2日には長距離タクシーを頼んで近郊のメンフィスに行こうか。メンフィス博物館があるし。ここから行けそうな距離だし、車をアレンジしてもらおうかな。

ピラミッドの夜景を撮るのも、2日にチェックアウトでは明日1泊と今日しか時間がないし、やはりもう一泊延長しておこうかな。




と、嫌な予感がしながらも思った。嫌な予感がするのならやめたほうがいい。だからいつもやめる。なのに、なぜかやめなかった。






マネージャーに、今の2泊と同額で1泊延泊できるかと聞いてしまった。今の2泊は、167ドルだったので、1泊83.5ドルだ。ちゃんとしたホテルでは相当安いと思った。エジプトなので。だから、83.5ドルで延泊できるか聞いてみた。

マネージャーは、予約サイトを確認して私の宿泊代を2で割り、その金額でOKだと言った。その場ですぐ支払い、私はカードで払ったんだけれど、カードマシーンでは、エジプトポンドでチャージしていた。

とりあえず、これも全部後で説明するので、最後までお読み頂きたい。






それから、花火はあるのかとマネージャーに聞いてみた。

そんな予定はないと言われた。






年明けに花火をしない国ってあるのだろうか。






あるのかもしれない。エジプトだしな。宗教違うし。

あれば屋上から写真を撮ろうと思ったと言うと、屋上はこの建物ではないと言われた。











え?











朝食が屋上で食べられると口コミに書いてあったと思ったけれど、実はこの建物ではないらしかった。隣の建物の違うホテルの朝食の場所を借りて合同にしているらしい。

敷地内じゃないのか。

そこは入れてくれるのかと言ったら大丈夫だろうと言われたので、あとでちょっと見てみよう。






そんなやりとりをしながらしばらくすると、音楽が聞こえた。

聞こえる方へ行ってみた。






蛍光灯をつけた服を着た人が踊っていた。

さぞかし重いだろうと思うよ。これを着て、くるくるくるくるとずっと回っていた。






自家発電だろうか。コンセントにさしているようには見えないけれど。






ところで、この時初めてディナーがここなのだろうと知った。こんなスペースがあった事すら全く気が付いていなかった。朝食、ここで食べてもいいんじゃないだろうか。






なんて思っている間にも、こんなに狭いところでくるくると回してすごかった。






さて、くるくるはいいとして、ディナーを発見したので、食べることにしよう。

ビュッフェディナーだったけど、種類は少なかった。あまり好みそうなものはなかったけれど、適当に少し肉と野菜をとった。






そして、席を探そうとしたらなかったので、一人で座っていた女性がいたから、ここは空いていますかと聞いてみた。

空いているというので、座っていいかと尋ねたらいいよと言われたので、名前を言って右手を出して挨拶をした。

どこの出身かと聞くと日本だと言われ、日本語で大丈夫ですと日本語で言われた。綺麗なアメリカ英語だったので、アメリカに住んでいると思ったけど、全然違った。






一度席に座り、スープもとってきた。ぬるくてまずかったけど。野菜も冷たければ肉もパサパサだった。

無料だからいいけれど。もっと早く来ていたら温かかったのかもしれないし。






そのうち、プレゼントが配られた。私も一つもらった。






一瞬チョコレートな事を願ったけど、灰皿だと思う。

ちょっと遅かったな。タバコをやめてから何年経つかな。

しかし、とってもしっかりとした箱に入ったプレゼントをもらってしまった。まだ旅行開始数日だから捨てる服もないし、これを入れるスペースを作らないとな。






プレゼントを配りに来た男性スタッフが、同じ席にいた日本人女性に、「何でそんな悲しそうな顔をしているんだ」と聞いていた。彼女は咄嗟に、「だってもう今年が終わっちゃうから悲しいのよ」と英語で答えていたけれど、自分がちょっと不愛想というか、機嫌が悪いように見えている事に気が付いていないのかもしれない。

一人旅をする女性に旅先で多々会うけれど、日本人だけはちょっと違う。愛嬌がないとか、偉そうとか、コミュニケーション能力低くて失礼な事をいうとか、大半がそんなだった。私はそれが不思議でならない。一人旅をする女性は強いと思うけれど、日本人以外は、大抵「Talkative」であり、話し上手というか、誰とでも話せるコミュニケーション能力があるのが普通だ。一人で世界中を行くのだから当たり前。

なぜ日本人だけが多少の勘違いがあるというか、笑顔を作らないことがかっこいいと思っているというか、気取っているというか、愛嬌がない対応を平気でする確率が高くなるのかが良く分からない。特に、英語が話せるほうが偉そうかもしれない。アメリカ人の気の強さを真似しているような感じではあるけれど、なんかちょっとおかしい。

彼女とも、多少会話に困ってしまった。日本だと自由がきかないよね的な話をしていたけれど、会話は全然はずまない。そのうち彼女もそれが分かったようでデザートを食べると言って出て行ったけれど、一人でいたいのを邪魔してしまったかもしれない。






そんな私も、後を追うようにデザートを食べに行った。デザートはさっきの場所ね。






4つ取ってきた。

チョコだし、美味しいんじゃないかな。そんなに甘い気がしなかったけど。






というところで、部屋に三脚を準備しておき、隣の屋上とやらをチェックしに行ってみることにした。ピラミッドの夜景が見えるかもしれないと思って。だとしたら、そこから写真を撮らせてもらおう。至近距離からの写真は又明日撮りに行けばいいし。遠目で花火をバックにピラミッドが撮れるのならそれが一番いいんだよな。花火がないとか、信じられないし。絶対あると思うし。






そして、ホテルを出て、隣のビルへ行ってみた。






まず、このように地下に入るらしい。






そして、このエレベーターに乗る。これは、エレベーターのドア。明けられずに困っていたら丁度誰かが来て開けてくれたから良かった。






そして、ガタンゴトンと上がって、降りた先は、どうみても普通のビルの建物内で、屋上ではなかった。何かフロントがあり、困って「屋上は・・・」とつぶやくと、あっちだと教えてくれた。




行ってみたら階段があって、理解した。

そうか。屋上まで行けるエレベーターはないのだ。何とバリアフリーでないビルなのだ。






そして、屋上へ行ってみると、テーブルがあり、バーのようになっていた。朝はここで朝食らしい。なるほど。




とりあえず、ちょっと聞いてみよう。






私 「ピラミッドのイルミネーションが見えると思ってきたんだけど」

ウェイター 「ライトショーのこと?水曜日と木曜日と金曜日だけだよ」

私 「え!??水曜日から金曜日までだけ!???」

ウェイター 「あ、違ったごめんごめん」

私 「そうだよね」

ウェイター 「水曜日と木曜日と金曜日と土曜日」











その違いはあまり変わりないが。











この日は12月31日で、土曜日だった。だけど、もう0時近いので、とっくに終わっていた。1日は日曜日で、2日は月曜日。1泊延長したとしても、火曜日の3日にチェックアウト。とてもとても、もう2泊もいたら時間の無駄だ。あちこちに行って写真を撮らないと行けないから。

ガーン。ライトショーの夜景は無理か。

ついでに花火はと聞いてみたら、ないんじゃないかと言われた。

そうか、ないのか・・・。






とってもしょんぼりとしたままホテルに戻った。もうすぐカウントダウンだから。











そんな明けかたしないでくれないか

ホテルに戻ったのは、2023年まで1分前とか2分前とか、そんな時間だった。

ホテルを出て行った時と様子が変わっておらず、どこでカウントダウンなのかが良く分からなかった。






とりあえず、さっきのレストランへ戻った。






何も騒いでいないので、明らかにここでカウントダウンではないと思った。だからすぐに出ようとしたけれど、その間数十秒あったから、もう時間がないだろうと心配になった。

スマホを見た。











知らぬ間に明けてしまった私の新年。






ガーン






カウントダウンやるって言ったじゃないか。






通りすがりのスタッフに、「カウントダウンやるって言ってたじゃない」と言ったけれど、そうだね的反応しかなかった。

そして、すぐにハッピーバースデーが始まった。

ああ、誰かの誕生日なんだ。






父上も、誕生日だった。井上晴洋らに脾臓を切られて死んだため、天国で祝っているはず。

誰かが誕生日で、エジプトで年を迎えて誕生日を迎えたのだ。何だかふと悲しくなった気がした。




そもそも、年が明けているのに何の反応もしないのが悪い。静かすぎた。0時0分に辛うじてカメラで時間を撮れたから良かったけれど、あれがないと、年が明けた事も言葉だけで表現して記事を書かないといけなくなるところだったじゃないか。






だけど、誕生日の音だけじゃなかった。

ボンボンて聞こえたよね。






花火が上ったと分かった私は、急いで外へ出た。






結構近くで花火が上っていた。






やっと少し、年が明けたのだなとは思えた。終わりのちょこっとだけだけど、小さかったけど、花火を見られたので。

だけど、なんか、調子が狂ってしまった。

ホテルに戻った時にマネージャーがいたから、花火やってたよと言ったら、逆にどこでやっていたかと聞かれた。

その程度か。






なんか、あっけない年明け。

シュンとしながら部屋へ戻った。






又洗濯をして、2つ並べて干した。時刻は0時35分。






写真を撮るつもりで準備していた私の三脚は、物干し竿の代わりになった。






なんかなと思いながらも、風呂に入る気もせず、顔を洗って寝ようと思った。

お湯は出たのだけれど、ぬるかった。湯沸かし器は2だったので、明日は、まず3でお風呂を入れて、それから2にして混ぜれば丁度いい温度なのかもしれないなと思いながら足を洗った。





今思えば、夜中になって疲れたのでお風呂に入らず顔と足を洗っただけで眠ったのは、正解だった。さもなければ、年末に大騒ぎを起こしていたと思うので。






そして、私は、「父上お誕生日おめでとう」と思って眠った。

長かった1年を終えて、今日が最後なのだと、最後をエジプトで迎えたのだと、生まれて初めて年越しを海外で一人で過ごすのだと、家にいても一人だったのでこれで良かったのだと思いながら、ベッドで気持ちよく眠った。




2022年よ、さようなら。




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-エジプトピラミッド切れ気味一人旅

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