トレーダーズホテルで過ごしていたクリスマスの夜、眠る前にふとスマホを見たら、「アルゼンチンで大洪水 15万人が非難」というニュースが目に留まった。
私の元々の希望は南米で、漠然とした予定ながらも、なんもかんもやめちゃって、年を跨いで一か月ぐらい滞在し、念願のアルゼンチンドライブをやり遂げたいと思っていた。だから、南米に行っていたら確実に巻き込まれていた。
その後写真や映像で洪水を見たけど、車もプカプカ浮かんでいたほどで、自分も浮かんでいたかもしれないと思うと恐ろしいなと思った。命は助かっただろうけど、旅行は台無しで、南京虫のほうがまだましだっただろうと思う。
従って、みなさんが読んだこの旅行記は、小さなトラブルにもめげずに相変わらずマレーシアでも我が道を行ったトラベルドライバーの旅行記ですが、行き先をマレーシアにしたお陰で命拾いしていたトラベルドライバーの旅行記でもあります。
大きな力に助けられた結果、小さな闘いを余儀なくされたけど、またしても強くなって帰って来たし、知識もついた。カチカチが何かとかね。
私はいつも、こんな風に、大きな被害からは身を守られてる気がしている。でもその代わり、「小から中ぐらいのものは、必ず自分で処理しなさい」と命令されていると思っている。
でも今回は、それだけではなく、「警笛」でもあったと思う。南米での運転旅は何千キロになるかわからないし、安易に考えず、しっかりと知識を得てから南米旅に出なさいという、事前通知。用意周到で行って損をすることなど一つもない。特に今の私には、得た知識を書く場所があるわけだし、何もムダにはならないので。
というわけで、この旅行では、洪水から救われただけではなく、南米に行くかどうかもまだ決まっていないのに南米旅行の準備に対する姿勢まで正されてしまう結果となりました。
そして次に思ったのは、「この旅行をどう書こうか」ということ。
起きた事を全て書き、自分が不愉快だったということも隠さず表現し、なおかつ、読み手にまかり間違っても「マレーシア人て嫌だな」などと思わせないようにするためには、どのように書いたらいいかと。
私がこの旅行を無事に終えることができたのは、何よりもまずマレーシアで出会った人たちが悪意ある人間ではなかったからだけど、私が受けた印象は良くなかった。そして、その感情は曲げることなく読者に正直に伝えたい。その上で、出会った人々は悪意ある人たちではなかったらしいという印象を、いちいちその場で述べることなく、与えたい。
要するに、私の書き方に比重が置かれる旅行記となりそうだった。
事実をそのままに、表現だけで読み手の印象を操作するというのは、トラベルドライバーの仕事ではなく、それを書く人の仕事。どちらも私本人だけど、そろそろちゃんとした区切りをつけたくなっていたので、この旅行記を機に、トラベルドライバーをある程度切り離し、書く人として、完全に自分らしく自由に書いてみることにした。
サイトを始めてから2年近く経ってからの、かなり遅れての出発だった。
とりあえず自分を野放しにして自由に書かせて、全然読まれないなら後で削除して短くして、淡々とした旅行記に書き変えるつもりだった。読者の反応は、サイトのアクセス解析で想像がつくはずだったから。
そして、書きあげたこの旅行記は、15万文字ほどの作品になった。
それに対してどのような反応があったかというと、読み始めたほとんどの読者はそのまま何時間もかけて読み続け、その日読み終わらなかったら又戻ってきて読んでくれているということだった。
私にとってこれは、自分がした自分にしかできない海外一人旅を、自分の表現力で自分の言葉で書き、自分の撮った写真と一緒に読み手に伝えていくという立派な創作活動で、本来最初からこうあるべきだったと思うけど、何となく自信がなかった。
読者が読みたいのは旅行の情報の部分だけなのか、「物語」として全体を読めるタイプの人が多いのかが分からなかった。
だけど、旅行に夢を見られる人は、物語を読みたいのだろうという事が良く分かった。そして、「旅行記を読んで運転する気になった」とか、「運転したくなった」と言われるのは、とても嬉しいことだった。
だから、マレーシア旅行は、私の節目となる旅行記を書かせるに至った一人運転旅でした。色々あって良かったと思う。
運転だけでも充分かもしれないけど、読みごたえがないでしょう、何もない旅行なんて。読みごたえがないじゃないですか、何もせずただ旅行している人の旅行記なんて。
そもそも、私の目的はそれなりに達成されていたと思うし。
① 世界一の野鳥園で鳥の写真を撮る
撮った撮った。クジャクがいっぱいいた。
② 生まれて初めて常夏のクリスマスを過ごす
過ごした過ごした。でもクリスマスはやっぱり寒い方がいい。
③ 珍しくお買い物。まずは、ヴィンチ
行った行った。何も買わなかったけど。
④ さらに買い物で、イギリスのお気に入りブランドがマレーシアにあるらしいので、そこへ
行った行った。やっぱり何も買わなかったけどね。
⑤ アウトレットに数件行って、その中でもう一つのお気に入りのイギリスブランドも見てみる
行った行った。1件だけホテルの近所のやつには行かなかったけど。スーパードライも行った。確かに「見て」はみた。買わなかっただけで。
⑥ ナイトマーケットでアジア満喫ショッピング
ショッピングショッピング。紫の液体とミルクティーしか買わなかったけど。しかもチャイニーズだったけど、「アジア満喫」だから、チャイナもアジアだから間違ってはいない。
⑦ ジョホールバル(マレーシア本島領土最南端)から日帰りでシンガポール
これだけナシ。そして今でも後悔ナシ。もしかしたら一生シンガポールには行かないかも。
⑧ ジョホールバル動物園へ行く
行った行った。行くだけが目的なら容易いことさ。
⑨ マレーシア料理満喫
串焼きしか満喫していないけど。肉骨茶は自宅で作ったけど。マレーシアンは日本で食べるよ。いいよもう。
⑩ そして翌年のカレンダーはマレーシア
私の意地のカレンダー。
いくつか余っているけど、旅行記を書き終えてみたら捨てる気がしなくなった。

さて、旅行記を書きながら計算したところ、今回のトラベルドライバーの走行距離は、大体このぐらいでした。
推定走行距離
1230キロから1280キロ
7日間で、まあまあじゃないかな。ジョホールの往復だけで700キロぐらいだからね。あの車で良くやったと思う。
文字数に関しては、今後、この旅行記はまだ甘かったなと思うほどの量を書くと思います。
運転も、さすがは運転狂いだなと思うほどの距離を、女性一人で走ると思います。
そして、時間を感じることなく一気に読めてしまうような旅行記を、このままずっと書き続けて行きたいと思っています。
完