入口付近へ到着
ペトラあたりに着いたけど、どれがペトラの駐車場か分からなかったので、車の窓を開けて歩行者に駐車場はどこかと聞いてみた。
あっちもこっちも指をさされたため、どれもこれもペトラの駐車場であることは分かった。又は、この歩行者がそう思っていたであろうことは分かった。
駐車場がすいていると逆にどこに停めていいのか迷ってしまう貧乏性の私、今回は、既に予定より遅れて到着していたし、迷わずその辺に適当に停めた。
適当に選ばず、日陰を選ぶべきだった。
しかも、チケット売り場まで数分歩いたと思うので、もしかしたら結構遠いほうの駐車場を選んでしまったのかもしれない。
そしてそのチケット売り場だけど、今は立派な建物があると思う。いかにも、「チケットを売っていますよ」という感じの建物が。当時はまだ屋台みたいなものだった。
ペトラの入口を過ぎると、すぐに、「ツアーはいかが」と声がかかった。
ペトラは、ゆっくり全部見ようと思ったら1日では足りないほどの広さだと思う。できるだけ奥まで見たいとは思っていたけど、私はこの後で200キロほど離れた死海に行く予定だったため、そう長くはいられなかった。
徒歩では何時間かかるか分からないし、ロバに乗るのも面白いかもしれないと思ったので、とりあえず、声をかけてきてくれた男の子と話してみた。
彼が言うには、一人だし、ペトラを上から眺められるところへ連れて行ってあげるよとのことだった。事前に調べていなかったので何のことだか分からなかったけど、団体では行けないような場所という意味だったのだと思う。
値段交渉をして、ガイドはこの男の子で決定した。数千円だったと思うけど、ワディラムよりは高い額だったと思う。
ペトラ一人ツアーへロバで出発
すぐに出発ではなく、まずロバに水をあげていた。ロバ支度は必須。
入口辺りはこんな感じ。
数分でロバの準備ができたため、小さなロバに乗せてもらって出発した。
ロバを甘く見ていた。跨いでみたら結構恐かった。カメラバッグが重いから重心が取れず、落ちそうで気が気じゃなかった。
しかも、スピードが早かった。ロバはもっとのそのそしていると思っていた。
えっちらほっちらとロバの綱を引き、男の子が前を歩き、しばらく直進。
少し進むと、「ペトラ」という感じになってきた。
最初は普通の土道を進み、それからこの岩山を登り出した。
ゴツゴツだったけど、このぐらいの岩段差ならロバは大丈夫らしい。
どんどんと、ゴツゴツ感と、
砂漠感が増していった。
右も左も分からない光景になってきた。
ゴツサバ感が増す中、結婚してるのかとこのガイド君に聞かれた。
今回は、続いて、恋人はいるのかとも聞かれた。それから、なんちゃらかんちゃらと。
もうこの時点でちょっと帰りたかった。
今回は既婚質問のみではなかったため、「後から少しもめるかな」と思いながら聞いていた。
ついでに、彼は、昔日本人の女の子と付き合っていたことがあるらしく、その話もしていた。
20分以上かけてやっと崖の上まで行くと、そこからはロバは無理だから、歩いて行こうと言われた。
歩いている時間はないと言ったけど、ロバは行けないから仕方がないとのこと。
さぞかし普通の人が行けない場所へ行ってそこからとっても綺麗な写真を撮らせてくれるのだろうと思うことにして、頑張って歩いた。
そしてすごい道を歩かされた。ロバどころか、ウサギでも辛いから行かないと言いそうな道だった。
道というか、草はないからジャングルとは言わないけど、乾燥地帯の石砂漠というか、猿の惑星に出てきそうなところだった。
そこを、このガイド君がすごいスピードで歩くため、着いて行くのが大変だった。
そのうち、彼が私の手を握り、そのまま私の手を引いて進んで行った。それはもう、まるで、犯罪を犯したカップルが逃げているかのようだったと思う。
往復40分ぐらいに思えたけど、もう少し短かったかもな。
非常に辛かった。
普通の観光客が行けないところへ連れて行ってくれるということだったので、写真を撮りたい一心で一緒に行ったんだけどね。
上から目線
そして、着いた先は、観光客などおらず、椅子があるわけでもない、ただの崖っぷちの危ない場所だった。
そこからエルハズネを見下ろせるようだった。
確かにね。
だけど、感動するほどでもない光景だと思った。自分のほうが落ちそうで怖かったし。これもう数十センチ下に降りたら落ちるからね。
落ちずに最初から下にいたほうが楽しそうだと思った。
こんなズームは上からじゃないと無理ではあるけどね。あんなところに小石がたくさん落ちているのは下からでは見えないし。
あれはきっと馬車だ。やっぱり下のほうが絵になりそうだよな。
ここに来るのに時間を使うならペトラの奥まで行ったほうが良かったかもとも思いながら、似たような写真をパシャパシャと撮っていた。それでも、20枚ぐらいかな。
だけど、写真でも撮っていないと休めないので撮っていたと言ったほうがいい。
到着してすぐにまたあの道を戻る体力もなかったので。
本当はさ、ここまで来る途中に見た崖や岩山のほうがよっぽど写真の撮りがいがあると思ったんだよね。止まって撮りたかったけど、ぐんぐん手を引っ張って行くんだもの。
そもそも、ツアーをする側の人たちというのは、必ず月並みな場所へ連れて行く。というか、大多数が好む場所へ連れて行く。でも、そういう場所は、一人旅人や写真を撮る人が行きたいと思う場所とは必ずしも一致しない。
だから私はいつもならツアーには参加しない。
水飲まれ休憩
写真撮ったからもういいよと言って、戻ることにした。
そして又、ぐんぐん歩いて元の場所へ。
そこで休憩に入った。
彼、水を頂戴というので、何で自分の水を持っていないのか不思議だったけど、私のペットボトルを渡した。そしたらガブガブ飲まれた。客の水を。
ムカッときたけど、彼のほうが年下だったので我慢した。
水飲み休憩ではなく水飲まれ休憩が終わると、またロバに跨ってポコポコ旅を再開。ほぼ飲まれてしまったペットボトルの水は、自分で飲み、ついに尽きた。
水もないのに太陽に照らされ、乾燥度高いのに、どこぞに行ってそこからそこを見ながら降りていくと言われた。時刻は既に13時過ぎ。もちろん昼食もまだだった。
高額になった一人ツアー
自分も疲れてしまったのか、このガイド君、何と私の後ろに跨って乗ってきた。気温は40度近く、乾燥しているし、すごい日差し。
疲れるのは分かるけど、客からお金を取りツアーを提供しておいて、客の水を飲み客のロバに乗るのか。
私は大きなカメラバッグを背中にしょっていたので、くっつかれているわけでもないし、とりあえず我慢することにした。
2人も乗せた可哀想なロバが歩く中、ガイド君、後ろでブツブツと日本人の元彼女のことを一人でしゃべり出した。
その後、何故そんな話になったのか、何故ロバから降りたのか全然覚えていないけど、ロバを降りて値段交渉の話になった。
最初に決めた値段でいいんだよねと聞いたら、こんなにたくさん歩いたし、君の手を引いて助けてあげたんだし、もっとくれてもいいんじゃないかと言われた。「やっぱりな」と思った。
結婚しているか聞き、恋人がいるかどうか確かめ、一人旅なことも確認して、私に男性がいないことが分かった後は、日本人と付き合っていたことがあると言って親近感を誘った。その後、手を引いて直接触れ、私のペットボトルを口をつけて飲んで返し、ロバの後ろに乗った。ボディタッチなどで距離が縮まると誤解していたと思うけど、行動がおかしかった。そして、後ろに乗っている間、なんか色々と言っていた。
普通、性別を問わず年齢を問わず、誰かと知り合いになりたいと思う人は、電話番号を聞くなりメールアドレスを交換するなり、今だったらSNSのアカウントを聞いたりして、「将来又会えるであろう手段の確保」をする。ただただ褒めちぎったりうまいことだけ言うような相手は、目的が違う。
こんな、右も左も分からんような砂漠ゴツゴツの場所で、人っ子一人見えないようなところで、もっと金をくれてもいいと言い出すのはやり方が汚くないか。うんと言わなければツアーが終わらず帰れないけど、ツアーが終わってもこんなところではどちらに行ったらいいかすら分からない。彼の満足いく結果にしなければ帰れないような場所を選んだとしか思えなかった。
このガイド君には異常なオーラはなかったのでその点は安心していたけど、異常オーラ手前の、お金が欲しいだけの人を見分けるのはちょっと難しいと思う。お金を得られないことで逆上する可能性があるけど、それは、お金の話にならないと見えないので。
彼は逆上型ではなかったため、とりあえずここは、あそこまで歩くことは私は知らなかったが自分は分かっていたわけで、だから最初に決めた料金はそれを考慮した額だったんだから、歩いてあげたからもっとくれと言うのはおかしいでしょと淡々と説明した。
でも、いくら欲しいと言っているのか分からないので、「それでいくら欲しいの?」とも聞いてみた。
だけど、何度聞いても、君が決めた値段でいいとしか言わなかった。もしもゼロならゼロでいいと。つまり、「チップ」の発想な感じだった。前の人はいくらくれたとかそんなことを言っており、ツアー代とは別にチップで高額を頂戴と言っていることは分かった。
おそらく、金銭感覚が海外旅行でずれてしまった日本人が、失礼にも、発展途上国の人間に恵んでやるぞとばかりに高額なチップをあげたことがあったのだと思う。それで彼が学習してしまったため、日本人を見るとお金を出してくれると思ってしまうという、発展途上国でよくあるケースだ。日本人の迷惑行為の代償を取らされる感じのやつ。自分の行いが日本国民全体のステレオタイプになってしまうと分からない人たちの是正担当係。
けど、時間もないし、もうこの子と一緒にいるのも嫌だったので、お金を払って縁を切るほうがいいため、幾らにしたか忘れたけど、面倒なので払うことにした。人をお金で買おうとするクズが多い中、私は、嫌だと思う相手を切るためなら出費を受け入れるタイプだ。
とはいえ、今回は1万円は超えていなかったと思う。ギリギリぐらいじゃないかな。時給5000円ぐらいだろうか。
私は、金額の多寡ではなく、ぼったくられるのが嫌なのだ。騙そうというその心が。最初から、「相場いくらだけど、君は一人だから値上げさせて」とか、完全ビジネス的にこられるのは全然いい。
でも、何かしてあげたんだからお礼にお金をくれというのよりはまし。そういう、善意という綺麗なものすら汚す貪欲さは、人を一気に不愉快にする。この辺、エジプトではブチ切れて3日ほどでエジプトから出ている。
現地で日本円に換算して大した金額じゃないからいいと思う人がいるけれど、違う国に行ったら、その国の価値観で計算しなければいけない。高い時も同じ。日本円で換算して高いか安いか判断するのは、旅行の費用の計算のためだけ。現地で自分が正しく扱われているかどうかは、現地の価値でしか測れない。
一応、「同意した料金以上の額を請求するのは契約違反であって…」と、契約について1分ほど機関銃のようにしゃべりながら渡したけれど、分かるわけもなし、アホらしいのでやめた。そもそもチップなら契約違反ではない。チップの支払いを強要するのならまた別の話だけどね。
旅行は、「選択の積み重ねと記憶の連鎖」。人生と同じ。こういう経験が記憶になるとその旅行自体のレベルが下がるため、ペトラ観光はこの時点でいいものにはなっていなかった。













