5日目③「ペトラの思い出を修正」

耳のために何とか何とかを捨てる

お金を渡した後、ロバに跨り出発した。

もちろん彼は又後ろに乗った。






ところが、「そこから降りよう」と彼が言っていた、何とか何とかという場所に行く途中、耳がおかしくなった。

エレベーターに乗ると耳がブツッとするでしょ。あれのすごいのがやってきて、ガイド君と話していてもろくに聞こえなくなってしまった。

エル・ハズネを上から見たのだからそれなりに高地にはいたけど、気圧変化を起こすほど高くはなかった。私の体は敏感な上、当時はまだ絶不調時期から抜け出せていなかったこともあり、太陽に360度照らされて干からびたまま歩かされた上に食べておらず、脱水に暑熱に長い小走りで、耳の圧調整がおかしくなったのかも。

本当にほぼ聞こえず、このまま聞こえなくなったら困ると思い、それで効果があるかどうか分からないけど、何か飲まなければいけないと思った。






 「もう(何とか何とか)とかどうでもいいから、下に降りるから降りられるところまですぐ行って」






そう頼んで、何とか何とかを諦めた。今でも何とか何とかが何だか分からないけど、自分の耳のほうが大事なため、とってもどうでもいい。






私には彼が何を言っていたかよく聞こえなかったけど、彼には私の言っていることが聞こえていたため、降り口まで進み始めた。

でも、崖の上のどこからでも降りられるわけではないらしく、彼が後ろに乗ったままのロバドライブが続いた。












よく効く薬

どのぐらいかかったか分からないけど、無事に降り口に到着した。

全く何の未練もなく、「じゃあね」とあっさり言って、すぐに一人で降りて行った。






到着した降り口には、整備された階段があった。途中にいくつか露店が出ていたので、正規ルートというか、地図に載っていた道だと思う。

要するに、ペトラの上には、わざわざロバで岩山を登らなくても階段で行けたのだと思う。あの場所へはガイドしてもらわないと行けないかもしれないけど、無駄に辛い思いをしてお金を払ってまで登った気がした。






すごい勢いで階段を下りていく途中、右側の露店でふと目が留まった。日本人みたいな男の子がいた。一緒にいたのは女性で、店員さんだったのではないかと思う。

とにもかくにも下へ降りて何か飲まなきゃいけないので、そのまま急いで階段を降りた。






「もしも降りても何もなければ、チケット売り場のあたりまで戻らなければ飲み物を買えないってことになるのか」と不安だったけど、下に降りてからすぐ、ジュースも売っていた休憩所を見つけた。

ありがたいことに、屋根もあって椅子もあった。






そこで、ファンタだったと思うけど、ジュースを買った。水だったかもな。二つとも買ったというのが一番可能性が高いけど。

座って休みながら落ち着いて飲み物を飲んでいたら、耳はあっさりと治った。

「解放感」という薬が効いたのだと思う。











命拾いならぬ耳拾いを心から喜んでいると、さっきの男の子が下りてきた。日本人かと英語で尋ねたら、親は日本人だけど日本語は話せないと英語で返された。

彼は、ドイツで日本の両親から生まれ、第一言語はドイツ語で第二言語は英語という、国際色豊かな人だった。休憩しながら少し雑談をして、FBでリクエスト送るねという話になって、FB友達になった。

そして、彼もエル・ハズネの方へ行くというので、一緒に行った。











気を取り直して

先ほどは崖の上を通ってしまったので歩けなかったシークをやっと歩けた。やはり下のほうがいいと思った。

何故かシークの記憶がないんだけどね。






でも、エル・ハズネは覚えている。






座り込んで眺めていた。彼も同じように座り込んでいた。彼も写真が好きらしく、お互いに放ったらかし。一人旅者は、基本的に干渉しない。

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さっき上から見ていたエル・ハズネ、どう考えても下からのほうがいいと思った。

だけど、もう15時を過ぎていた。ランチも食べていなかった。もうこの下からの写真を撮ったことだし、早くペトラから出て死海へ急がないと、死海からの夕陽を逃してしまうかもしれなかった。










捨て身でありがとう

早く出ないとなと思いながら写真を撮っていたら、馬車の運転手が何度も話しかけてきた。

チケット売り場(出入口)までは結構距離があるので、ここら辺から馬車に乗って行く人が多い(逆もまたしかり)。なので、馬車が結構いて、立派な観光名物になっていた。






幾らでどうだとか何度も言ってきたけど、お金ないよと言い返していた。

いくらならあるのかと聞くので、500円ぐらいだと言うと、2人ならそれでもいいよと言っていたけど、彼はまだ帰るつもりはなかったので、私一人の料金だ。

別に馬車に乗ろうと決めていたわけではないけれど、無駄に払ったばかりだったためもうぼられる気はなかったので、






 「さっきね、君の仲間に予想以上のお金払っちゃったからないのよ。明日帰国だしね、現金持ってないの。クレジットカード使える?」





と、私お決まりのクレジットカード法も入れて言ってみた。





馬車 「使えないよ。1000円(ぐらいだったと思う)ぐらい払えない?」

 「本当にないからダメ」






まだ現金は持っていたけど、これから死海へ行くのに2、3千円ぐらいは残しておきたかったし、ペトラでだけ散財するのが嫌だったので、それ以上の額は固く断った。

すると、客がいなくて困ったのか、「じゃあもう500円でいいから乗せて行ってあげるよ!」と、商業的捨て身モードに入ってくれた。

というわけで、ドイツ人の彼とお別れして、馬車に乗った。






やっぱり500円では本当に足りなかったのか、「誰か乗らないか!」と大声で観光客を勧誘しながら走っていた。






そんな、「500円ぐらいの馬車」に乗車中。






馬車が楽しかったので、私はこれで、スカッとした。

さっきの一人ツアーと違って損をしておらず、ぼったくられなかったので腹も立たなかったというのもあっただろうけど、最後にこのスピード感でここを走れたというのが良かったのだと思う。




どんな世界遺産も、乗り物にはかなわなかった。

中途半端に終わったペトラ、たったこれしか見られなかったけど、一番楽しかったのは、この馬車だった。






ここでスカッとしたことで私のペトラの思い出はそれなりにいいものに修正された。

嫌なことは先にくるほうがいい。

順番が逆ではいけない。





というわけで、死海へ行こう。

                               

-ヨルダン一人旅:完全自運転